物理数学雑学集年代測定法の原理 約3万年前のマンモスなどと良く耳にしますが、これってどうやって測定するのでしょう 地球には、宇宙線が降り注いでいますが、これがはるか上空の空気と 衝突して中性子と呼ばれる微粒子が出来ます。 さらに、この中性子が空気の中にある窒素原子と衝突して、 炭素14原子が生成するのです。炭素14原子は、まわりの酸素と 結びついて二酸化炭素となり、普通の二酸化炭素と一緒に大気中に 拡散していきます。 炭素14は、放射性炭素とも呼ばれ、電子(β線)を放出し、壊れて 窒素14原子に変わります(この現象を放射性崩壊といいます)。 この現象は、極めて規則的に起こり、1万個の炭素14原子があると、 その数が半分の5千個になるのに、5730年かかることが知られています (この時間を、半減期と呼び、炭素14の半減期は5730±40年です;Godwin, 1962)。 つまり、非常に正確な時計の役割を果たすことが出来るのです。 大気中の炭素14原子は少しずつ壊れて減っていきますが、 上空で日夜生産されているので、大気中にはいつも一定の量、 炭素原子全体の約1兆分の1だけ存在することになります。 二酸化炭素は水に溶けるので、海水や河川・湖沼の水の中にも、 この割合で、炭素14原子を含む二酸化炭素が存在していることになります。 光合成(炭酸同化作用)をする植物は、この二酸化炭素を取り込むので、 植物組織の中にも同じ割合の炭素14原子を含むことになります。 また、この植物を食料とする動物や、食物連鎖を構成する動物・人間も 同じ割合の炭素14原子を含むわけです。 植物も動物も生きている限りは、その組織の炭素の中に 1兆分の1の炭素14原子を持っているのです。 これらの生物が死んでしまうとどうなるのでしょう? 新たな炭素の取り込みがなくなるので、その時点から、炭素14は 壊れる一方と言うことになります。 5730年で半分になるのですから、遺物の中に1兆分の1あった 炭素14が、その半分、2兆分の1になっていることがわかれば、 その生命体は、5730年前に生命活動を停止した、ということが わかるのです。これが、炭素14年代測定法の原理です。 |