ここでは新たな試みとして4次のルンゲクッタ法を使って振り角θを1周期分逐次計算し、
これから周期を読み取って正確な脱進機誤差を算出する。
まずテンプの運動方程式を自由振動期間、ガンギ解除期間、テンプ衝撃期間
に分けて立てると次のようになる。
[自由振動期間]
Id2θdt2=−cdθdt−kθ−(±)R
[ガンギ解除期間]
Id2θdt2=−(±)S−cdθdt−kθ−(±)R
[テンプ衝撃期間]
Id2θdt2=(±)M−cdθdt−kθ−(±)R
ここで
I : テンワの慣性モーメント
c : 粘性減衰係数
k : ヒゲゼンマイのバネ定数
R : 天真ほぞの固体摩擦抵抗,
S : ガンギ解除時のテンプの負荷トルク
M : テンプ衝撃トルク
である。復号はω=dθdt≥0のとき+、<0のときはーをとる。
ここで式(1)~式(3)の両辺をIで除すと
[自由振動期間]
d2θdt2=−ω2n(jdθdt+θ±r)
[ガンギ解除期間]
d2θdt2=−ω2n(jdθdt+θ±s±r)
[テンプ衝撃期間]
d2θdt2=−ω2n(jdθdt+θ−(±)m±r)
ただし
j=ckr=Rks=Skm=Mk
である。
ここで
S=εM
とおくとεは解除トルクと衝撃トルクの比を表し脱進機の構造により定まる。
通常のクラブツース型脱進機の場合はε=0.2~0.4である。
ここで
α=ガンギ解除開始テンプ角度
β=ガンギ解除終了テンプ角度
γ=衝撃開始テンプ角度
η=衝撃終了テンプ角度
を設定し、テンプ1周期を
-A0~α 自由振動期間1
α~β ガンギ解除期間1
β~γ 自由振動期間2
γ~η テンプ衝撃期間1
η~-α 自由振動期間3
-α~-β ガンギ解除期間2
-β~-γ 自由振動期間4
-γ~-η テンプ衝撃期間2
-η~-A0 自由振動期間5
の9期間に分けて式(4)~式(6)を4次のルンゲクッタ法により計算する。
脱進機誤差δは
δ=86400T0−TT=86400(2πω0T−1)=86400(1fT/2−1)
で表されるからT/2をθのグラフから読み取れば正確なδが計算できる。
今回例としてα=−25∘ , β=−15∘ , γ=−13∘ ,η=22∘ , ε=0.3, M=2.73×10−7[Nm],k=1.184352528×10−6[Nm/rad],
I=1.2×10−9[kgm2],c=8.41×10−11[Nms],R=2.85×10−9[Nm], 振動数f=10とおいて振り角θを計算した結果を
下図に示す。
このときの半周期T/2は下図から0.1000035[sec]であった。
これより脱進機誤差δは式(12)から次のように計算される。
δ=86400(110×0.1000035−1)=−3.023894[sec/Day]
尚、このときの4次のルンゲクッタ法の刻み幅は1×10−7とした。
この場合θは1×10−28程度の精度を持つが、今回はθが符号を反転させる時間差を読んでいるので
精度は1×10−6である。
