18世紀半ば、まだ人類が海を「征服」するにはあまりにも無力だった時代、広大な大海原で船乗りたちはひとつの問いに命を懸けていました。 「自分達はいま、どこにいるのか」。
当時、緯度は太陽や星の高さから測ることができましたが、経度だけは測定する方法がありませんでした。基準となる時刻がわからなければ位置が定まらないため、わずかな誤差が船を暗礁へと導き、多くの命を奪っていったのです。
そんな絶望の時代に、一人の男が立ち上がります。ジョン・ハリソンという学者でも貴族でもない、独学で物理と数学を学んだ時計職人でした。彼は「正確な時計さえあれば、経度が測れるはず」と信じていました。
幾度も失敗し、資金難や批判に苦しみながらも、彼は研究をやめませんでした。そしてついに完成させたのが、日差わずか0.06秒という驚異的な精度を誇るマリン・クロノメーターです。これは現代の機械式時計でも決して到達不可能な精度でした。
この時計が示す英国本土の正確な時刻と、船上で太陽が最も高く昇る瞬間を正午とする現地時刻との差を比べることで経度を割り出すことができます。
もし1時間の差があれば、地球は24時間で360度回転しますから、360÷24=15度となり、こうして初めて、海の上で正確な経度が測れるようになったのです。
それは単なる技術革新ではなく、命を救う発明でした。彼の執念が、海の恐怖を希望へと変えたのです。
やがて世界は、経度を測るための共通の基準を必要としました。その基準として選ばれたのが、イギリスのグリニッジを通る子午線、すなわちグリニッジ子午線です。
それは単なる一本の線ではなく、人類が「位置」を知り、「未来」へ進むために引いた、希望の原点なのです。
幾多の困難にも屈せず、生涯を賭けて経度測定に挑み続けたハリソン。その情熱と不屈の精神への敬意を込めて、経度測定の原点であるグリニッジ子午線 Greenwich Meridianを、私たちの出発点として命名しました。
人生もまた、長い航海です。時に現在地を見失い、不安の波に揺れることもあるでしょう。それでも、確かな「基準」があれば、人は再び進むべき方向を知ることができます。
私たちもまた、ハリソンがそうであったように、皆さまの人生という航海の中で、静かに時を刻み続ける道しるべでありたいと考えています。
Greenwich Meridian --
それは、挑戦の物語であり、希望の象徴であり、そして新たな出発の原点なのです。